【南アルプス】聖岳から赤石岳3泊4日 後編

赤石岳の途中でブロッケン現象があらわれる
赤石岳の途中でブロッケン現象があらわれる

3泊4日計画で南アルプス南部の聖岳から赤石岳を縦走する山旅の続き、3日目の朝からスタートです。(1日目、2日目は前編をご覧ください。)

3日目

暗いうちからヘッドランプをつけて歩き出しました。百間平に着く手前から空が明るくなります。上空には重たい雲が掛かっています。今日は昼から、明日は朝から崩れる予報です。赤石岳を越えて赤石小屋に宿泊する予定でしたが、一気に椹島まで降りることにしました。

百間平は名前の通り平らな道です。雲が山肌を滑っていき、目の前の赤石岳を隠しています。ここを越えると赤石岳の登りとなります。最初は大きな岩のゴーロの斜面を回り込み気味に登っていきます。一息つける鞍部からは石の質が変わり細かな砂礫。そして急登になります。

遠雷が聴こえたのでナウキャストで雷情報をチェックします。この辺りはauの電波が入るので助かります。静岡の沿岸部に雷がきているようです。赤石岳にはまだ注意報が出ていません。こちらに雷がやってこないといいのですが。

岩ゴロの稜線に乗りました。北アルプス方面を臨みます。日本海側は安定しているようですっきりとした天気。赤石岳を境に雲が切れていました。

赤石岳山頂に到着しました。太平洋側は雲がかかって眺望なしです。赤石岳付近は高山植物が多くなります。ミハクサンイチゲ、チングルマ、ミヤマコゴメグサ、ウサギギクなど様々なお花達が出迎えてくれます。聖岳は高山植物が少なかったのでもう花も終わりかと思っていましたが、こちらにはまだ残っている花が多く嬉しいです。

雲が流れていく稜線の風景。ここから赤石小屋を経て椹島まで下山します。まだ半分以上の距離が残っています。急いでもバテてしまっては仕様がありません。いつものペースを守って降ります。

主稜から外れると砲台型休憩所までは急な降りです。高山植物があちらこちらにあるので楽しんで歩けました。登ってくるグループ数組とすれ違います。赤石避難小屋か百間洞まで行くのでしょうか。

砲台型休憩所を越えると立木が目立つ様になります。桟橋がいくつも出てくる道になります。片側が急斜面になっているので注意しながら進みます。

赤石小屋でお手洗いを借りてジュースでエネルギー補給をしました。赤石小屋はスタッフの方のイラスト付きの案内板が愛らしく和みました。小屋を抜けてしばらくは亜高山帯のなだらかな道となります。

ギンリョウソウの大きな株です。苔むす林床に真っ白な姿が目立ちます。山地帯から亜高山帯まで広範囲に見られる腐生植物です。

歩けども歩けども亜高山帯の森が続きます。そう言えば初日も亜高山帯を一日中歩いていました。雲の中にいるので幻想的な風景が広がっています。

赤石小屋からの降りが非常に長く感じましたが無事にゴール。ここから椹島ロッジまでは目と鼻の先です。雨もパラパラ降ってきました。

本日のお宿は一人部屋です。椹島ロッジは現場のプレハブ小屋を彷彿とさせる宿泊施設でスタッフの方もドライな人が多い印象。どこかの会社の社宅にお邪魔したような雰囲気があります。とにかくお風呂があるのがとても有難い。

・椹島ロッジ
南アルプス南部のベースキャンプ的な位置にある宿泊施設です。大浴場あり、部屋は個室となります。夕食は品数が多く美味しいです。別棟にカフェがあり軽食が食べられます。チェックアウト7時、お風呂は16-21時となっています。9-13時に有料でシャワーを借りられます。ゴミは持ち帰りがルールです。特殊東海フォレスト系の山小屋を予約すると畑薙ダムから椹島までの送迎バスのサービスが受けられます。
※復路の送迎バスは予約をしていても当日カフェ棟で受付を済ませないと乗れませんので注意が必要です。

4日目

敷地内にある記念館(有料)
敷地内にある記念館(有料)
朝、どんよりとした雲が空を覆っています。時折強い雨が降ったり止んだりと安定しない空模様です。鳥森山の散策を取りやめて敷地内をウロウロ。チェックアウトの時間が7時と早いのでバスが来るまでの間一時的に居場所がなくなります。受付カウンターの前のソファなどで時間を潰している登山者も見受けました。

カフェも10時からしか開かないので暇です。朝食にインスタント麺を茹でて食べます。火器はカフェ棟となりの大型テントの下で使うことが出来ますよ。

10時になったのでカフェへ移動。朝からビールです。カフェの書棚には年代物の「山と高原」が置いてありました。ラジオから天気図を描くコツや洞窟探検などが紹介されていました。今は30kg背負えなくても天気図が描けなくても地図が読めなくても軽量なギアやスマホがあれば難しい山にチャレンジできる時代です。1970年の雑誌を眺めながら50年で登山スタイルがずいぶん変わったと思いました。

畑凪第一ダム休憩所
畑凪第一ダム休憩所
12:45に椹島の送迎バスに乗りました。畑凪第一ダムまではおよそ1時間。畑凪第一ダムで静岡駅まで運んでくれるしずてつ南アルプス登山線を待ちます。バス停近くに屋根付きの休憩所とお手洗いがありました。お手洗いは今年で閉鎖されるそうですが簡易トイレは設置されるのでしょうか…。登山バスが走らないときは乗合タクシーで静岡駅まで戻れますよ。

静岡駅のプラモ公衆電話
静岡駅のプラモ公衆電話

しずてつバスの旅は長かったです。進めども進めどもバスは山間部を走ります。乗車時間3時間、途中2回のお手洗い休憩を挟みようやく静岡駅まで到着します。南アルプス南部は山から町に出るまでが非常に長いです。驚くことに椹島も静岡駅も同じ葵区です。静岡駅からは新幹線で東京方面に戻ります。

まとめ

椹島ロッジで頼んだお弁当(1000円)
椹島ロッジで頼んだお弁当(1000円)
南アルプス南部は光岳、聖岳、赤石岳、悪沢岳、塩見岳と百名山を5座も抱えていますが、山小屋の間隔が長く初日は長い亜高山帯の森歩きを強いられ、交通の便も良くないという条件で気軽に歩くにはハードルが高い山域です。山小屋の設備は充実しているのは救いですね。注意点としては道に迷ってしまうと山が深い為、地力下山が困難となります。中級者上級者向きの山域と言えるでしょう。

そえではまたどこかの山でお会いしましょう!