登山ガイドの村井です。今年も登山教室とツアーが無事に終了いたしました。ご参加頂いた皆様、有難うございました。
さて、シーズン最後のガイドたよりに何を書こうか迷いましたが、秋の北アルプスの出来事をお伝えしたいと思います。
11月の三連休に北アルプスへ無雪期最後の個人山行へ向かいました。
この時期の北アルプスは秋と冬の境になります。要するに一晩で状況が一変してしまうということです。
今回は常念岳から燕岳を目指しました。常念小屋に泊まったときに道中ですれ違った登山者の方に一緒に行って欲しいと頼まれました。
お話を聞いてみるとその登山者の方は冬山経験がなく、スポーツ用品店で必要な道具を尋ねたらチェーンスパイクを装備するように言われたそうです。
初日は登山道が見えている場所もあって常念岳まではトレースもしっかり着いていました。その後、夕方から降雪があって燕岳方面のトレースは消えました。
翌朝、常念小屋を出発。一応その方に先行してもらってみましたが登山道を外れて頼りない様子でしたので、私が先行に変わりました。
稜線では風速15mほどの風。15mだと注意していないとフラつくような感じになります。空を見れば雪雲が北西から湧いてきそうな模様、高山専門の天気予報も昼過ぎには降雪予報を出していました。(ちなみに下界の天気は晴れ予報。)
横通岳を過ぎると燕岳が見えましたので目的地を伝えしましたが、あまり地形を把握出来ていない様子でした。常念岳〜燕岳がはじめて歩くコースで詳細が分かっていないとのことでした。
大天井手前まではトレースがなく、吹き溜まりは30〜40cmほど潜りました。15mほどの風は止むことはなく、岩陰を見つけて5分程度の休憩を取りながら進みます。
途中、同行者の方はハイドレーションのチューブが凍って補給ができなくなりました。幸いにも大天荘は営業中だったので暖かい小屋内で休憩。行動食を食べ、お湯を貰って吹雪になる前に燕山荘を目指しました。
結局、燕山荘到着の30分前には降り出してしまい、その後はべっとりと湿った雪が降って最終日は合戦尾根は夏道通行止め、途中まで冬道での下山となりました。
同行者の方は無事に下山しましたが、ソロだったらどうしたのだろうかと考えました。
このところ、夏山を独学ではじめて登山歴1年程度で冬山へと突入される方がとても多いです。トレースがないと歩けないレベルの方は冬山にソロで行ってはいけません。地形が読めてせめて夏に同じコースを歩いたことがないと危険です。
冬山は救助を待っている間に低体温症で凍死してしまうことも多いです。一つのミスが致命的な結果になることもあります。
経験がない方はツアーに参加されたり、山岳会などの冬山講習を受講して下さい。夏山と同じ感覚で登山をするのは自殺行為です。自宅で帰りを待っているご家族のことを考えてどうぞ安全登山を心掛けて下さい。
長文になってしまいましたが、冬山が美しいのは人を寄せ付けない厳しさがあるからだと思います。少しずつステップアップして冬山を楽しんで頂ければ幸いです。それではまた来年お会い致しましょう。
来シーズンの予定は2026年3月下旬頃に更新します。