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【登山ガイドたより】16号

登山ガイドの村井です。酷暑続きの毎日ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。ガイドたよりのトピックスをどうしようか迷ったのですが今回はちょっと厳しめの話になります。

 

国内の登攀器具を使わない登山コースの中で屈指の難易度を誇るのが、西穂高からジャンダルムを経て奥穂高へ縦走するコースです。今年はすでに5件の遭難事故が起きています。そのうち2件は道迷いとなっています。難易度を下げるために岳沢からジャンダルムへ向かうコースを選択する場合もあります。今回取り上げる遭難も岳沢からジャンダルムを歩こうとした事例となります。

 

遭難者は道を間違え気づけば、進むも戻るも出来なくなって救助を呼びました。詳細は槍ヶ岳山荘グループのブログから読むことが出来ますが、本来のルートをとんでもなく外れていることに大変驚きました。一般の登山者が歩くコースなら分かりますが、屈指の難コースでルートファインディング(※1)が出来ない登山者がいるという点です。道を間違えたら戻るという選択肢を取る登山者が多いものですが、今回は間違っていると疑いもしなかったのか、どうにかなると判断したのか、身動きが取れなくなるまで進んでしまったようです。

さらに驚いたのが、救出後に岳沢に残してきたテントを郵送で送ってくれと依頼をしてきたということです。本人は遭難事故を起こしてしまったという自責もない可能性があります。

 

本来登山者はアクシデントがあった場合、できる限り自力で下山することを求められます。今はスマホが繋がり易く、気軽に救助を呼べる時代となっています。しかし、遭難現場というものは急峻な崖や人の入り込むのが難しい地形の場合が多々あります。そこへ危険を犯して助けに入る救助隊や遭対協(※2)の人たちを思えば、事故を起こさないように登山技術を身に着けたり、力量にあったコースを選定するのが山を愛する者の矜持だと思うのです。自立した登山者を目指して欲しい。そんな思いでいっぱいです。

 

※1ルートファインディング…一般登山道の場合では、登山道を外れずに正しい方向を見つけること

※2遭対協…遭難防止対策協会の略、県や警察、山小屋等で組織された遭難防止を働きかける組織

 

さて、9月より下期の登山教室がスタートします。

残席1名となっている講習もありますのでお早めのお申込みをお待ちしております。

また、秋にアルプスエンタープライズさんでツアーガイドを致します!

10月28日(土)-29日(日)丹沢蛭ヶ岳。中級者レベルの登山をしたい方、初めて山小屋泊を体験してみたい方にオススメのツアーとなっております。神奈川県の最高峰に登ってみませんか?

 

【今後のスケジュール】

9月17日(日)おひとりさまの登山術

10月8日(日)おひとりさまの登山術

10月15日(日)地形図を読んでGPSを使いこなそう

11月12日(日)ハマる地図読み

12月3日(日)手ぶらで山ごはんin丹沢

講習詳細→https://www.akipro-mtwork.com/登山講習/

お申込み先→https://www.akipro-mtwork.com/講習申込/

 

10月28日(土)-29日(日)丹沢主脈(塔ノ岳~丹沢山~蛭ヶ岳)大縦走

お申込み先→https://www.alps-enterprise.co.jp/search/index.php/item?id=633

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コメント: 2
  • #1

    ゆるりん (土曜日, 02 9月 2023 14:23)

    自分のレベルにあった山へ行くべきで、ちょっと甘く考えていたのではないかと思います。

  • #2

    登山ガイド村井 (日曜日, 03 9月 2023 06:49)

    コメント有難うございます。昨今、山の怖さを知らないで難易度の高いコースにチャレンジしてしまう登山者も増えているように感じます。こうした記事で少しでも山のリスクが伝えられるように啓もうしていこうと思っております。