· 

【日本百名山】のんびり富士山1泊2日

半蔵坊小屋前より、丹沢山塊の向こうから日が昇る
半蔵坊小屋前より、丹沢山塊の向こうから日が昇る

日本の最高峰、富士山。登山できる期間は7月上旬〜9月上旬までのわずか2ヶ月間です。世界遺産として登録されてから海外の旅行者からの注目度も高い山となっています。富士登山といえば登山道の渋滞が有名ですが、今回は週末にのんびりと富士山を楽しめないかとご来光組と時間をずらして行動するという作戦で登ってみました。

 

登山コースの概要

登山レベル ★★★☆☆
 コース

1日目 御殿場口-次郎坊-半蔵坊(泊)

2日目 半蔵坊-剣ヶ峰-大砂走-御殿場口

コースタイム

1日目 3時間45分

2日目 9時間10分

距離

1日目 5.3km

2日目 13.2km

往路アクセス JR御殿場駅より富士急モビリティバスで御殿場口
復路アクセス 御殿場口より富士急モビリティバスでJR御殿場駅
参考地図 山と高原地図32富士山
立ち寄り湯

オアシス御殿場

まず、富士山のコースは吉田口、須走口、富士宮口、御殿場口の4つがあります。吉田口は首都圏からのアクセスが良く混み合います。須走口は8合目より吉田ルートと合流します。富士見宮口は標高が高い場所からスタート出来るので距離が短いです。そして、御殿場口ですが4つの中で一番距離が長く人が少ないコースとなっています。人気を避けるなら御殿場口を選ぶべし。

 

アクセスはJR御殿場駅からとなります。ここで注意点、御殿場駅はSuica、PASMOが使えません。精算に時間がかかりますので切符を発券しておくことをオススメします。改札を出ると左手が富士山口、右手が乙女口となっています。御殿場口行きのバスは左手の富士山口の1番乗り場よりご乗車下さい。

 

御殿場口五合目の公衆トイレ
御殿場口五合目の公衆トイレ

バスに揺られること30分で御殿場口に到着となります。駐車場近くに公衆トイレがあります。お手洗いを済ませてから出発しましょう。夏のシーズンは富士山保全協力金の仮設テントが建っています。協力金を支払うとオリジナルの木札がもらえます。江戸時代の通行手形のようでカッコイイですよ。

 

今回の登山はソロではなく友連れです。同僚のA氏を連れてきました。彼の登山経験は少なく高尾山や筑波山に登ったくらい。山小屋泊も初めてです。体力はしっかりありますので一緒に登ってもらうことにしました。

 

歩き出すと15分ほどで大石茶屋に到着します。富士山に登らず二ツ塚を観光で巡るならここでのんびりとビールやおでんを頂いても良さげです。今日はあまり時間の余裕がありません。16時まで山小屋に入らなければいけないので休憩は取らずに進みます。

 

振り返ればこの景色!写真中央にはお椀をふせたような矢倉岳の姿が。
振り返ればこの景色!写真中央にはお椀をふせたような矢倉岳の姿が。

延々と砂の道が続きます。大砂走りを駆け降りる人で砂煙が巻き上がっているのが分かります。富士山は登りと降りでコースが分かれているのですが、初心者の方は気づかないらしく登りの道を降りてくる人もちらほらいました。

 

次郎坊までは傾斜があまりキツくないので順調に進んでいましたが、次第に傾斜が着いてくると一歩踏み込むとずるっと半歩戻るような感じです。砂の急登は歩きづらい。普段はあまり使わないストックを取り出します。砂地にアンカーが取れるので幾分登りやすいです。

 

御殿場口は登山者は少ないものの、靴底が剥がれている方、ザックを持ってもらっている方、担がれている方と様々に危ない様子の登山者が多かったです。普段の山歩きでは見られない光景ですね。富士山は登山経験者も未経験者も登る特殊な山となっています。体力不足や高山病で山頂までたどり着けない方もいます。

 

砂地に難儀しながらも16時、半蔵坊に到着しました。ブラシを貸してもらえるので服の砂を払ってから小屋に入ります。半蔵坊は2020年に復活した山小屋で収容人数12名と小規模な施設です。なんだかアットホームな雰囲気が漂います。

 

小屋の設備は寝床、食堂兼団らん場所、売店とシンプルです。富士山は水が貴重なので洗面所はありません。宿泊者は1リットルまで水が無料でもらえます。御殿場市の水道水だそうです。寝床はカイコ棚になっていてカーテンがあるので着替えしやすいですよ。

 

夕飯まで時間がありますので小屋の前で歩荷したビールで乾杯しました。A氏はまだまだ元気そうで安心。小屋の前にはパレットがありますのでベンチ代わりに使えます。箱根や丹沢、愛鷹連邦がながめられ眺望抜群です。17時に夕食を摂ったら明日に備えて就寝です。


早朝5時前、半蔵坊から見るご来光です。山頂でご来光となると8合目の小屋から2、3時に歩き始めるのが一般的ですが、我々のんびり組は、ご来光は小屋の前から見ることにしました。ご来光の後は暖かい朝ごはんをいただきます。鮭ハムエッグ定食でした。食後にコーヒーで一服してから6時に出発、山頂を目指します。

 

半蔵坊小屋からは九十九折りの急登となります。ここも砂地ですが下の方より幾分、締まっているので歩き易いです。途中、宝永山、愛鷹連邦、天城山が直線に並んで見えるスポットがありました。惑星直列みたいでカッコイイです。

 

高度が上がるにつれ、空も薄くなりますのですぐ息が切れます。後を歩くA氏も8合目が近づくに連れて息遣いが荒いようです。高山病も心配なので出来るだけゆっくりと歩きます。登山道は渋滞なく快適です。きちんとした登山装備の方もいれば、ランニングウェアあり、普通の服装もありといった具合。軽装の方は行けるとこまでという感じなのか途中で引き返している様子でした。

 

11時、お鉢に到着しました。ご来光組は下山していて山頂はそこまで混んでいません。朝は猛烈に混んでいる山頂のお手洗いも並びはありませんでした。駒ヶ岳の岩場でホットサンドをつくって早目の昼食を摂ってから最高地点の剣ヶ峰へ向かいます。

 

観測所手前の急坂がちょっと登りづらいです。富士山の火口跡のスケールに圧巻されます。山頂標の待ち時間は20分弱でした。山頂近くには電子基準点もあるので立ち寄りました。登りづらかった剣ヶ峰手前の急坂ですが、降りはずるっと滑ってさらに歩きづらいです。ストックがあると心強い場所。

 

山頂には1時半以上、滞在していましたがバス便の時間もあるのでそろそろ下山開始です。登りは息を切らしていましたが、降りはさくさく進みます。7合目わらじ館から下山道大砂走りに入りますが、ちょっとその前に小休憩。わらじ館でスイカ(400円)を頂きます。甘いスイカに元気が出ました。

 

富士山の最大アトラクションとも言える大砂走りは1歩で3m進むとも言われています。砂走りを下るコツは踵を踏み込むこと。とにかく砂煙がすごいのでマスク、帽子、ザックカバー、それとゲイターで砂塵対策が必要です。他の登山者も勢いよく降っていきます。

 

隣をトレイルランナーさんが勢いよく駆け下って行きました。 A氏も「走りたい。」と砂地を滑走していきます。登山経験が少ない代わりに体力でカバーするA氏。「それでは私も。」と駆け出します。その時、左足がグネりました。前方に倒れて砂地をスライディング。1歩3mを全身で体験することになりました。

     

そこからは走るのはやめて普通に歩いて下山をすることに。慣れないことはしないのが一番ですね。全身砂まみれになるというアクシデントがありましたが、無事に御殿場口まで到着できました。御殿場口はバスの本数が少ないので時間調整は大石茶屋ですると良いです。景色を眺めながらのお疲れ様ビールはきっと最高ですよ。


 

まとめ

夕方、半蔵坊の前から見えた影富士と影宝永山
夕方、半蔵坊の前から見えた影富士と影宝永山

御殿場口コースは昼より夜間の登山者の方が多いような印象でした。たしかに登りは大変ですが、降りは大砂走りをテンポよく降りることが出来るのでそこまで距離の長さを感じませんでした。また半蔵坊に宿泊すると7合目わらじ館のお手洗いが無料となりますよ。下山後の入浴は御殿場駅から徒歩15分のオアシス御殿場をご利用下さい。

 

最後に。

今回は登山装備が整っていない方や体力不足と見受けられる方と沢山すれ違いました。登山経験者のUL(ウルトラライト)と山を知らない方の装備不備は別物です。はじめて富士山に登るなら登山装備を整えて低山ハイキングで足慣らしをしてから登ることをオススメします。多くの方は遊興で登りに来ていると思います。歩けなくなるほど無理をしてまで登る必要はないのでは?もっと富士山の登山を楽しみましょう!