【関東日帰り登山】刈寄山バリエーションルート

刈寄山は戸倉三山の一つ。秋川方面から臼杵山、市道山、刈寄山をめぐるとコースタイム8時間以上の長丁場となります。以前、陣馬山の和田峠から市道山と臼杵山を歩いたことがありますので、今回はまだ歩いたことがない刈寄山に行ってみることにしました。せっかくなので新ルートを開拓しようと夕焼小焼ふれあいの里からバリエーションルートを含めてコースを設計。危険な場所が少ないので中級者からレベルアップしたい方にちょうど良いコースとなっています。(※このレポートは4月下旬の様子です。)

 

【注意事項】

このコースを歩く場合には以下の技量が必要となります。

・1日6時間以上の登山をしている

・ルートファインディングができる

・等高線から尾根や谷を判別できる

 

登山コースの概要

登山レベル ★★★★☆
 コース ふれあいの里-宮尾神社-高留沢ノ頭(p589)-鳥切場-入山峠-刈寄山-今熊山-金剛の滝-小和田峠-武蔵五日市駅
コースタイム

5時間~6時間

距離

9.6km

往路アクセス JR高尾駅より西東京バス 夕焼小焼バス停
復路アクセス JR武蔵五日市駅
参考地図 山と高原地図28高尾・陣場、国土地理院1/25000地形図

登山レポート

登山口まではバスで移動となります。JR高尾駅北口より1番乗り場、陣馬高原行きにご乗車下さい。ちなみにハイキングシーズンはとても混雑する路線となりますので出発時刻の20分前には並んでおいた方が良いです。この日も大変な混み具合で臨時便が出ました。臨時便は急行となり、停車するバス停は夕焼小焼、関場、陣馬高原の3か所です。

 

バスは陣馬街道をひた走り、夕焼小焼バス停に到着しました。隣が夕焼小焼ふれあいの里です。自動販売機やトイレがあります。マスを使ったフィッシュバーガーも売っていましたがザックに入れてもっていくと潰れてしまいそうな予感?BBQができる施設なので親子連れでにぎわっていました。この場所から宮尾神社に向かいます。ふれあいの里前の階段を上るか、高留橋を渡って右に行くか。どちらも距離は変わりません。

 

ふれあいの里から5分ほど歩くと入山口の宮尾神社に到着します。境内には夕焼小焼の歌碑がありました。作詞者の中村雨紅は宮司の三男として生まれたそうです。夕焼小焼は大正8年ごろに作られた歌。今でも歌われ続ける有名な童謡ですね。

 

さて、今回はバリエーションルートなので登山道の案内板は一切ありません。お社の左側に登山道が下へと伸びていますが、こちらは村落へ抜ける道です。地形図でコースを確認します。高留沢ノ頭まで明瞭な尾根が伸びています。境内を見て回り尾根の取り付きを探します。

 

お社の左脇を覗きます。なるほど、この辺りから登れそうです。バリエーションルートは尾根の取付き点や入渓点を探すのが大変です。周りを見てもテープなどはありませんでした。

 

尾根に乗るとしっかりとしたふみ跡がついていました。山と高原地図にも破線でコースが載っていますので利用する登山者もそこそこある様子。

 

ヤマレコより引用
ヤマレコより引用

ふみ跡をたどっていくとp370地点からトラバースの道へと変わりました。GPSアプリで確認します。ピークを迂回して道が着いているようです。バリエーションルートなので尾根通しで歩いても良いとは思いますが、せっかく道が残っているのでトラバース道を歩くことにしました。

 

再び尾根に合流すると小さな竹林と出合いました。宮尾神社から高留沢ノ頭(p589)の間は特に危険な場所もなく、傾斜に変化があって歩きやすい道でした。


バリエーションルートは登りで使うと地図読みの難易度が下がります。要するに高い場所を目指して歩いていけば良いのですから。逆に降りは下に向かえば向かうほど枝尾根が分岐していくので選択肢が増え難易度が上がります。

 

ふれあいの里から1時半ほどで高留沢ノ頭(p589)に到着しました。山と高原地図では.北東方面の恩方山コースが載っていますが、刈寄山へ行きたいので登山道の描かれていない北西方面の尾根へ向かいます。ここからは降りの道となるので尾根を外さないように地形図を確認してから進むことにしました。

 

ヤマレコより引用
ヤマレコより引用

それでは地形図を確認します。現在地点は高留沢ノ頭(p589)です。入山トンネルを目指します。まず尾根伝いの道だということが分かります。その2、最初のコル(鞍部)まで降りた後、明瞭なピークは三か所あります。その3、二つ目のピークを通るとき右手側に目立った張り出しの尾根が見えるはずです。その4、三つ目のピークから降りるとき急傾斜になることが分かります。地形図にコンパスを当ててみると主曲線幅1mmありません。傾斜度20°以上は確実にあります。

 

ここで何を言っているのか全然分からなかった方はこのルートを歩くにはまだ知識不足かと思います。傾斜度の測定はGPSアプリでは出来ませんので、それ以外の点が理解できれば等高線が読めていますよ~。

 

山と高原地図には登山コースとして載ってはいませんが、地形図を見ると徒歩道が描かれています。実際尾根を歩いてみると道がまずまず残っています。おや、開けている左手方面に大岳山がひょっこりと頭を出しています。ここからでも見えるんですね!

 

二つ目のピークにお手製の案内板がありました。この辺りは低木が多く、下降する道が見えづらいので置いてくれているようです。

 

とはいえ、案内板を100%信用するのではなく地形もあわせて確認します。三つ目のピークは等高線が狭いのでスっと小さな丘のように見えるはずです。視線を上げて周りを確認します。見えた!前方の小ピークが三つ目のピークです。方角を確認したら案内板の指している方へ歩き出します。低木をかき分けるとすぐふみ跡が見つかりました。小ピーク方面へ伸びています。

 

3つ目のピークからの降りはやっぱり急傾斜でした。小石の目立つ斜面だったので慎重に降ります。ソロのときはワンミスが重大な事故に繋がるのでかなり注意しながら歩きます。道が平坦になってくると道路が見えます。入山トンネルの上を通過です。

 

トンネル近くに関場まで降りられる分岐があります。何か不測の事態があったときにはエスケープルートとして利用できそうですね。さて、この先からは一般登山道となります。

 

鳥切場を過ぎると道幅もだいぶ広がります。なだらかで歩きやすい登山道が続きます。あちらこちらに道標が見られるようになります。ルンルンコースです。途中、新多摩線83号鉄塔を通り過ぎ入山峠となります。

 

入山峠到着です。左の林道には入らず、右の登山道を歩いて下さい。

 

伐採地なので見通しが効いて気持ちが良いです。丹沢の大山や蛭ヶ岳が一望出来ます。刈寄山まではピストンなのでザックを置いて空身で山頂を目指します。

 

刈寄山(687.1m)の山頂です。ベンチや東屋がありました。山頂からはあきる野市の街並みが伺えます。山頂の少し下に刈寄川へ降りる林道がありましたが、工事中の為トラロープで閉鎖されていました。

 

刈寄山から今熊山を目指します。鉄塔の向こうに丹沢山塊がゆったりと存在感を放っていました。手前には陣馬から高尾山に続く笹尾根が横切っています。入山峠からの道は伐採地があって眺望が抜けてなかなか良いです。山頂よりも途中の道で眺望を楽しめます。尾根通しとまき道がところどころ出てきますので体力をつけたい方は尾根通し、のんびり歩きたい方はまき道を選ぶことができる贅沢コースでした。

 

豆佐嵐山(p648)の先にまたしても伐採地があり、奥多摩の山並みが一望できます。大岳山や御前山、御岳山などが見えました。刈寄山のコースにあまり眺望を期待していなかったのですが、林業が盛んな地域は伐採をしっかり行なっているのでこうして眺望を楽しめる場所があちらこちらに出来るようですね。偶発的な嬉しい発見。

 

尾根道を進むと今熊山の表参道に接続します。左手が山頂、右手に少しだけ行くとお手洗いがあります。山頂付近にお手洗いがあると女性は助かりますね。トイレ前にはベンチもあって開けています。

 

お手洗いのあった地点から30mほど上がると今熊山(505m)の山頂となります。山頂は眺望がありませんがベンチテーブルがありますのでお昼ご飯に良さそうです。

 

ちょっと遅めのランチを取りました。軽くウィンナーを炒めるだけでも山ではごちそうです。アウトドア用のバーナーはPRIMUSのフェムトストーブを使っています。64gと軽量なので一人分を調理するのにちょうど良いです。

 

ランチの後は今熊神社に立ち寄ります。コンクリート製の小さなお社があります。今熊山は別名「よばわり山」と呼ばれています。なくした物やいなくなった人が見つかるという伝説のある山です。

 

さて、今熊山から金剛の滝を目指しますが、実は下山が結構急です。岩が露出して道が細い場所もあるので注意が必要です。途中で出会った地元の方が年に数回は足を滑らせて怪我をする人が出ると言ってましたね。武蔵五日市駅からも結構近いので山慣れしていない観光客も訪れるからなのかもしれません。

 

今熊山山頂から30分ほど降ると金剛の滝へと到着します。二段の滝になっていて上の滝へは手彫りのトンネルを通っていきます。滝の周りの雰囲気が良く素敵な場所です。昔は滝の上の階段から刈寄山に至る舟子尾根へ上がれたようですが、現在は閉鎖中となっています。

 

滝を堪能した後は武蔵五日市駅へと戻ります。小和田峠経由で駅へと向かいます。秋川の流れが見えますね。駅はどの辺りでしょうか。登山道は広くなり広徳寺へと出ますが、手前に電気柵が登山道を横切るように渡っているので慎重に跨がないといけません。私が通ったとき、横をすり抜けていったマウンテンバイクが危うく電気柵トラップに引っ掛かりそうになっていました。危ないです。ちなみに広徳寺の脇には公衆トイレがありますよ。

 

広徳寺から30分ほど歩いて武蔵五日市駅に到着です。お疲れさまでした。駅前にはお蕎麦屋さんやカフェなどがありますので休憩を取ってから帰るのも良さそうです。

 

まとめ

do-mo kitchen CANVASさんの自家製ベーコンとローストビーフ丼
do-mo kitchen CANVASさんの自家製ベーコンとローストビーフ丼

刈寄山バリエーションルートは序盤が地図読み、中盤が丹沢や奥多摩の眺望、終盤が滝鑑賞とバラエティに富んだ山歩きとなります。新緑の季節も良いですが、晩秋の空気が澄んでいる頃に訪れても良さそうです。バリエーションルートを含むので装備品をしっかりと整えてお出かけ下さい。それではまたどこかの山でお会いしましょう!