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「女の旅」山本志乃(著)

女性が自由に旅が出来るようになったのはいつからでしょうか。江戸時代は入鉄炮出女(いりでっぽうとでおんな)と言い、江戸から出て行こうとする女性は厳しく監視されていました。明治大正と時代は流れ、大阪万博の開催後、旅行代理店の隆盛とともに女性が一人で旅行に出られるようになりました。

では、その前の女の旅はどういうものだったのでしょう。この本には女の旅が自由化される前に旅をした11人にフォーカスしています。国を定めず境を限らずと放縦の旅を望んだ女性。国の行く末を案じ老境にかかり立志し旅に出た女性。夫の身を案じ命がけで夫の夢に随行した女性。望んだ旅、望まない旅、運命に突き動かされて旅だった彼女たちの人生の物語となっています。

現代はインターネットで手軽に予約でき、ツーリスティックな旅を誰もが楽しめる時代になりました。まさに娯楽としての旅が一般的となっています。この本は旅の在り方を見つめ直す機会になるそんな一冊です。