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【丹沢 日帰り登山】広沢寺温泉から大山 ミツマタを訪ねて

3月中旬、この時期の丹沢はミツマタを見る登山者でにぎわいます。有名な場所は東丹沢の不動尻と西丹沢ミツバ岳。今回はアクセスの良い東丹沢へと出かけました。

 

広沢寺温泉行のバスは本厚木駅をおりて5分ほど歩いたところにある厚木シティプラザの隣から出ています。

 

前日は豪雨、今日は快晴。心なしか空気も澄んでいるような気がします。丹沢不動尻のミツマタの開花はもう少し後かなと思っていたのですが、気温が高い日が多かったせいかもう満開になっているという情報を得たので急遽出かけることにしました。

 

バス停には10名弱の登山者が集まっていました。広沢寺温泉行はバスの本数が少ないので、七沢行に乗り広沢寺温泉入口で下車をします。バス停を降りて少し戻るとセブンイレブンがあり、そこから広沢寺温泉へ向かう道が続いています。

 

道の真ん中にきれいなピークを持つ山が見えます。鐘ヶ嶽です。山頂付近に浅間神社があります。体力がある方は鐘ヶ嶽を登ってから不動尻まで行っても良いかと思います。

 

玉翠楼の分岐に駐車場がありますが、かなり多くの車が停まっていました。ミツマタがお目当でしょうか。今回は広沢寺温泉を出発地にしましたが、逆ルートなら下山後に温泉を楽しんだり、川沿いのますやさんで岩魚や刺身こんにゃくを頂くのも良いですね。

 

いつの間にか、道幅が細くなり1時間ほど歩くと隧道(すいどう)に当たります。脇にトイレが設置されています。隧道は照明がないですが距離が短いのでヘッドランプはいりませんでした。一度、夕闇迫るころにここを通ったことがありますが、結構怖かったです。

 

やや荒れ気味の林道です。ここの近くが最終トイレとなります。ここから不動尻まではもう少し。

 

お目当てのミツマタです。匂いを嗅ぐと若干柑橘系っぽい感じと圧倒的に甘い香りがします。斜面一面にミツマタの花が咲いています。広場ではお弁当を広げて休む人もそこ、ここにいます。ミツマタだけを楽しみにきている人も多いのですね。

 

このミツマタ。実は室町時代に中国からやってきました。繊維が丈夫なので和紙をつくるのに使われました。栽培が比較的容易だったので人里近い場所にこうして群落をつくっているのです。沈丁花(じんちょうげ)の仲間になります。

 

ちなみに日本の固有種でもジンチョウゲ科の植物があります。丹沢を歩けばきっと目にしているはずですがあまり目立つ存在ではないので知らない方も多いです。

 

この子です。オニシバリと言います。膝の高さぐらいの低木です。実はオニシバリの花期もミツマタと一緒なんです。地味ですけど緑色の花をつけています。別名ナツボウズと言って夏場は葉を落とします。他の樹木の葉が茂らないときにこのように花を咲かせて光合成をしているのです。でも、丹沢のオニシバリは冬でも葉を落とさない針葉樹のあたりに生えています。日光が強いのが好きじゃないのかもしれませんね。

 

ミツマタの群生を抜けると九十九折の急登が始まります。途中、作業がいくつか交錯していますので登山道を外さないように歩きます。こういうとき地図を確認して尾根道なら尾根を意識すると良いです。足元を見る事も大切なのですが、道の先を確認することも忘れてはいけないポイントです。

尾根を詰めていくと落ちた枝などで登山道が荒れてきました。北側にトラバース道が作られていましたのでそちらを進みます。山と高原地図で確認するとグレーの波線で道が描かれています。巻道ですね。

唐沢峠にはベンチがあり2、3人の登山者が休憩していました。軽く給水して大山に向けて歩きます。少しずつすれ違う人が増えていきます。不動尻のミツマタを見に行かれるようです。ちなみに唐沢峠を北側に行くと不明瞭な広尾根を経て歩きづらい痩せ尾根、ザラ場、クサリ場が多い三峰山へと続きます。登山経験の少ない方は不動尻へ降りることをおすすめします。


大山に向かう尾根道は痩せたところもありますが、きちんと鎖が設置されています。適度な傾斜具合で歩くのが心地よい道です。

 

傾斜がきつくなる手前にベンチがあります。私がいつも休憩に使っているスポットです。都内の高層ビルなどを眺めながらカップ麺をいただきます。お湯を沸かす手間を惜しんで750mlの山専ボトルの熱湯でつくりました。前に三峰山を越えてきたときも、このベンチでカップ麺を食べています。なんとなくこのベンチはヌードル専用ベンチとなっております。大山の山頂はおそらく混んでいると思われるのでここで休憩を取りました。

 

雷ノ峰に続くルートに接続する場所からかなりハイカーが増えます。大山山頂につくと大勢の人がお昼休憩を取っています。バウルーで焼かれたウィンナーのいい匂いが届きます。山頂BBQもいいですね。

 

この日はとても良い天気。ちょっとわかりづらいですが写真の中央に筑波山も見えています。あとは日光方面もうっすらと目視できました。暖かかったので遠望はできないかなと思っていたので思わぬ収穫です。ありがたや。

 

にぎわう山頂を辞して鳥居をくぐります。すこし歩くと計測器のようなものが設置されているのですが、実はそこが富士山展望場所となっております。見て下さい。富士山です。書かずもがなですね。こう富士山が見えるとワクワクするのは日本人だからなのでしょうか。ちなみに右側の白い山脈は南アルプスです。荒川三山が見えているのわかります?わかりますか?

 

表参道をひたすら降っていきます。石がごろごろしているので足元注意ですね。まだまだ山頂を目指す人が登ってきます。それにしても本日は花粉の存在を感じます。

 

表参道から外れるとまったく人がいなくなります。蓑毛に降りる人は少ないのです。静かな山歩きとなっていきます。登山道には針葉樹のスギとヒノキが目立ちます。

 

石碑に「是迄二十八町目」と刻まれているのが見えますでしょうか。何が是迄(これまで)なのか。それは江戸時代、女性はこの碑があるところまで入れなかったことを意味しています。江戸時代は講(こう)が隆盛してお伊勢参りや富士山詣でが盛んでした。しかし、それは男性が主流の旅。女性は家を離れることがなかなかできなかった事。こうして女人禁制となっている場所が多かった事。いろいろと制約が多かったのです。

 

蓑毛越と記された案内板からトラバースの道へ接続します。踏み跡がすこし荒れているので道をはずさないように注意が必要です。尾根を九十九折に降りていきます。途中、林道と交わりながら蓑毛の集落を目指します。

 

今日はもう一つ目的があります。蓑毛の山クジラコーヒーに立ち寄ること。以前、蓑毛から登った時に見つけたカフェでそのときは通り過ぎただけでした。今日はせっかくなので珈琲を頂きにいきます。

 

店内は天上がたかく白い壁が陽光をうけとめて暖かな場所となっています。テーブルひとつに椅子が二脚。そんなこぢんまりとしたカフェです。スイーツをセットで注文しました。自家焙煎の珈琲はふと何かを思い出すときのようなインスピレーションを与えてくれる味でした。

 

気づくと小さな店内には私一人きり。店主の姿も見えません。遠野物語のマヨイガのような宮沢賢治の注文の多い料理店のような次にきたらカフェが消えてなくなっているんじゃないかというような錯覚を覚えました。

 

カフェの庭に沈丁花(じんちょうげ)が咲きそろっていました。沈丁花、ミツマタ、オニシバリと今日はジンチョウゲ科三兄弟を総なめにした日となりました。

 

カフェから1分もかからない場所に蓑毛のバス停があります。1時間に2、3本バスがあるのでこちらに降りてくる登山者がもっと多いかと思っていたのですがやはりバスを待つ人は少ない。のんびりとバスに揺られて秦野の駅まで戻ります。

 

では、またどこかの山でお会いしましょう!

 

登山レベル ★★★☆☆
 コース  広沢寺温泉-隧道-唐沢峠-大山-表参道-裏参道-蓑毛
コースタイム 5時間40分
距離 11.3km
往路アクセス 小田急線 本厚木駅から七沢温泉行き広沢寺温泉入口下車
復路アクセス 蓑毛バス停から小田急線 秦野駅